【キャンベラ23日AAP】気候変動問題に取り組むため、オーストラリアは2010年に排出量権取引制度(ETS)を開始し、温室効果ガスの排出量に対して価格が設定される。
オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)とオーストラリア国立大学が実施した新調査で、炭素税が導入されると、ガソリン代や電気料金が高騰することが明らかになった。ETSの導入により、国民が請求書の支払いに苦しむことが懸念される。
一方、同調査では国民はガソリン代や電気料金の値上げにほとんど気付かないとし、その理由に国民の所得がそれ以上に急速に上昇することを挙げた。CSIROの経済学者で同報告書の共同著者のスティーブ・ハットフィールド・ドッズ教授は「ETSの導入は長期的に行われ、電気料金の値上げは比較的ゆっくりと行われる」と語った。
炭素価格が低く設定されれば、電気料金は2025年までに18%増、高く設定されれば67%増となる。また、ガソリン価格は2025年までに低く見積もって8%増、高く見積もって36%増となる。
報告書では全体として所得の上昇はガソリンや電気の価格上昇を上回るとしているが、短期的にみれば低所得家庭は財政的に苦しい時期があると警告している。ペニー・ウォン気候変動相は「政府はETSの導入にともない、炭素税の影響に対応できるよう家庭を支援するための措置をとることを約束する」とした。