【シドニー25日AAP】「ニュー・サイエンティスト」最新号に掲載されている、米国で行われた研究結果によると、抗うつ剤のパロキセチン(豪国内ではアロパックスという呼称で市販されている)によって、精子の質が顕著に低下したことがわかった。
ニューヨークのコーネル・メディカル・センターは、健康な男性35人にパロキセチンを5週間服用させ、彼らの精子を4週間かけて調べた。その結果、精子の量や形、運動状態に変化はみられなかったものの、詳細研究において、DNAが崩壊した精子の割合が、薬の服用前には13.8%であったのに対し、4週間後には30.3%にまで増加したことが平均にみられた。
統計によると、うつ病の治療を受けているオーストラリア人の数は増加しており、毎年約1200万の処方せんが発行されている。IVFオーストラリアの不妊部長であるマイケル・チャップマン教授は今回の研究結果に関して、薬を服用する人が増えると国内の不妊に悩むカップル数の増加につながるかも知れないが、不妊治療を受ける男性の約5%しか抗うつ剤を服用していないことから、これが不妊の主因にはならないとした。