【メルボルン24日AAP】電気パルスを使用して腫瘍を破壊する画期的ながん治療法がメルボルンのアルフレッド病院で試験的に実施されている。
放射線科医は、この不可逆エレクトロポレーション(IRE)治療は今後、手術や放射線治療のように新しいがん治療法となる可能性があるとした。IREナノナイフと呼ばれる装置を使用して行われるこの治療は、細い針電極を腫瘍あるいは腫瘍付近に正確に置き、短く強力な電気パルスを腫瘍にあてるというもの。
アルフレッド病院放射線科のケン・トンプソン教授は、この技術は「画期的」で、将来、化学療法に取って代わる治療法となる可能性が高いとした。トンプソン教授は「我々は現在、IREの安全性を証明する過程にある。この治療法により手術と同様の結果が得られることを保証できる技術を未だ得られていない。そこに到達するまでには数カ月あるいは数年は必要」と語った。
IRE治療では腫瘍の細胞に極小の穴を開け、細胞が体内から取り除かれる前に細胞を死滅させる。米国ではすでに前立腺がん患者17人がIRE治療を受け、成功している。オーストラリアでは肝臓がん患者1人と腎臓がん患者1人にIRE治療が施された。
トンプソン氏よると、IRE治療は痛みがなく、患者への治療後の影響もないことが報告されているという。トンプソン教授は「施術時間は非常に短い。また周辺組織へのダメージもなく、組織は動脈や静脈を塞ぐことなく正常に回復する。IRE治療は固形がんにも使用できるとされ、施術後の痛みもなく、問題点はほとんどない」と語った。