【ブリスベン11日AAP】 30年以上にわたってサンゴの繁殖を研究してきたサザンクロス大学のピーター・ハリソン教授が、世界初となるサンゴの体外受精(IVF)を成功させた。
自然環境下でサンゴが放卵する際、卵子や精子は波や風の流れによってあらゆる方向に浮遊する。受精が完了しても、サンゴ礁から離れた幼生は死んでしまうことが多く、実際に繁殖適齢期までサンゴ礁に残る数は非常に少ない。
ハリソン教授率いるチームは世界で初めて、サンゴに行う体外受精に似た方法を生み出した。水槽内で数百万のサンゴの幼生を育て、爆発漁猟によるダメージを受けたフィリピンのサンゴ礁でサンゴの数を急増させた。同教授は、「胸を躍らせるのは、生き延びたサンゴが3年で繁殖可能な大きさに成長できることだ」と語った。これまで、健康なサンゴを刈り取ってサンゴ礁に植え付ける方法がとられているが、成功率は決して高くない。
フィリピンでの同教授の研究は、オーストラリア国際農業研究センター(ACIAR)の支援を受けている。ACIARは途上国の生産性、持続性、食料安全保障の改善に向けた研究に資金を供給する。