【シドニー23日AAP】 カウンセリング、リハビリテーション、解毒治療などのサービスを提供するオデッセイ・ハウスのジェームズ・ピッツ会長は、アルコールは「比較的健康に害のない娯楽」ではなく、薬物と同じであると認識すべきとし、人々はアルコールに関する考え方を転換する必要があると主張した。
ピッツ氏は「アルコールは麻薬に匹敵しないと思っている人は多い。言い換えれば、自分たちを薬物使用者と思いたくないのだ」と語る。2008年度のNSW州オデッセイ・ハウスへの入所者数は817人。この年、入所の主な理由として最も多かったのはアルコール中毒で、ヘロインやアイスなどの薬物中毒を初めて抜いた。「入所者の3人に1人が最も危険視する薬物はアルコールと回答し、また70%が治療を受ける理由の一つにアルコールを挙げた」とピッツ氏。
さらにピッツ氏は、保健・高齢化省が昨年発表した統計の結果、オーストラリアではアルコールによって生じる損失があらゆる薬物から生じる損失の約2倍であることが判明した点を指摘した。国家薬物防止対策報告書によると、犯罪、暴力、交通事故、医療、早死に、労働力の減少、家庭の生産性の低下など、アルコールによって生じる損失は年間153億ドル。一方、薬物によって生じる損失は82億ドルだった。