【シドニー21日AAP】 権利擁護団体「SANE」が4月から5月にかけて実施したオンライン調査の結果、オーストラリアでは精神病患者の大部分が、生活苦が原因で医師によって指定された治療薬を購入することが難しい状況にあることがわかった。うつ病、双極性障害、総合失調症などを含む精神障害と診断された約400人のほとんどが治療費か食費のどちらか一方を選択しなければならない厳しい現実に直面しているという。
SANEのバーバラ・ホッキング会長は「精神病患者は今、底辺層生活を強いられるようになっている。政府は精神病患者が必要な治療薬にアクセスできるように早急に対応すべき。それが精神科医療、あるいはそのほかの慢性的病気かどうかは関係ない。精神病患者が健康な人よりも高頻度でそのような状態に陥ることは明らかである」とした。
今回の調査で、精神病患者の約40%が年間所得が20万未満だったことが分かった。また、回答者の約20%が1カ月の薬剤費に100ドル以上が必要と回答し、32%が公的医療保険制度(メディケア)に加入していないと答えた。半数以上の53%が家計をやりくりするためにクレジットカードに依存しており、債務の存在が大きな問題となっている。さらに29%が昨年債権者からの取り立てにあったと回答した。
ホッキング会長は、医療とは低所得者が財政的な負担を感じることなく利用可能なものであるべきであり、政府は精神病患者に対し財政的知識やカウンセリングのプログラムなどの支援をすべきとした。