【メルボルン5日AAP】 細胞生物学者のエリザベス・ブラックバーン氏(60)が5日、2009年度ノーベル医学生理学賞を受賞することが発表された。豪人女性がノーベル賞を受賞するのは今回が初めて。ブラックバーン氏は、同じくノーベル医学生理学賞を受賞した米国人のキャロル・グレイダー氏とジャック・ショスタク氏とともに研究を行い、若さを永遠に保つための細胞の中にある染色体を助けるテロメラレーゼとして知られる酵素を発見した。
オーストラリアと米国の2重国籍を持つブラックバーン氏は、メルボルン大学の学士号を持ち、その後ケンブリッジ大学で博士号を取得した。ブラックバーン氏は現在、サンフランシスコのカリフォルニア大学で生物学と生理学の教授として勤務している。
ブラックバーン氏は「賞をもらうことはいつだって素晴らしいことよ。受賞したことで研究自体の本質が変わるわけではないけれど、周囲に認知され、キャロルやジャックとその喜びを分かち合えることは素敵なことだわ」と語った。
メルボルン大学科学部長のロバート・セイント教授は、今回の受賞は今後の医療に対して多大な影響を与えるとした。セイント教授は「テロメラレーゼは正常な細胞の成長や老化において重要な役割を持つ。テロメラレーゼの機能が、がんのような病気に効果をもたらす」と語った。
また、豪科学学会の科学政策事務局長のボブ・ウィルアムソン氏は、この研究はがんやそのほかの病気の治療に対して新しいアプローチをもたらすだろうと語った。