【シドニー5日AAP】 メルボルンを拠点とする科学者グループはこのほど、マラリアを引き起こすマラリア原虫が、人体内で病原菌を増殖させる仕組みを突き止め、抗マラリアワクチンの開発に一歩前進したことが分かった。
ウォルター・アンド・エリザ・ホール医学研究所の研究チームが、科学誌「サイエンス」に発表したところによると、マラリア原虫が若い赤血球に鉄分を運ぶたんぱく質の一種に付着することで、人体を汚染することが分かったという。今後、病原菌がどのように赤血球に侵入するかが解明されれば、これを阻止する抗生剤の開発が可能になるという。
同研究を率いるワイ・ホン・タム助教授は、マラリア原虫が若い赤血球だけを侵食することが、長年にわたって謎とされてきたとして、3年間にわたる研究の成果を「極めて重要」と評価した。世界保健機構によると、2016年のマラリア感染者数は世界で2億1600万人、死者は44万5000人に上っている。