政治

「忘れられた豪人」に政府が正式謝罪

【キャンベラ16日AAP】   ラッド首相は連邦議会で16日、第2次世界大戦後に英国から連れてこられた約1万人の子どもたちが国内の児童擁護施設で虐待を受けていた事実について、この期間に入所していた50万人に対し正式謝罪を行った。被害者らは生涯待ち望んでいた「謝罪」の言葉を聴くために、議会へと足を運んだ。

ラッド首相は、これはオーストラリアの歴史の中で卑劣な出来事であると述べた。児童養護施設での身体的、精神的虐待について言及されると、聴衆の中には涙を流す人もいた。ラッド首相は議会に集まった約1000人に対し「子供時代の喪失というこの上ない悲劇が起こったことについて謝罪する。権力を保持する者が弱者を虐待するということがなぜ容認されていたのかを考えると遺憾である」と述べた。さらに、「忘れられたオーストラリア人」と呼ばれる皆さんが今日から「記憶されるオーストラリア人」と呼ばれることを願うと話した。

被害者のガブリエル・ショートさんは今回の謝罪を聴くためにキャンベラを訪れた。バララットの児童養護施設で虐待を受けていたショートさんは当時を振り返り、「シーツにお漏らしをしてしまったとき、顔から血が出るまでシーツに顔をこすられた」と話した。また、罰として足を熱湯に入れられ火傷を負い、階段下に閉じ込められ、動物に餌を与えるかのように食べ物を投げつけられる少女らもいたという。

連邦政府は被害者に対する補償計画を否定したものの、「忘れられたオーストラリア人」の高齢化が進む今、彼らを保護することを約束した。

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