【シドニー30日AAP】 12月1日の世界エイズデーを迎えるにあたり、専門家はHIVに関する誤った考えに安心しないように警告した。ニューサウスウェールズ大学のHIV感染病・臨床研究センターのドノヴァン教授によると、安全なセックスキャンペーンの実施にもかかわらず、毎年約1000人の豪人がエイズに感染しているという。
抗レトロウイルスという画期的な治療薬により、HIV感染者の寿命は長くなったが、同時にウイルスの拡大リスクを増大させることになった。ドノヴァン教授は「ゲイの人やシティー内に暮らす人は慎重になるべき。HIV感染者は通常健康なので、エイズへの意識が低い人が多い」と勧告した。
現在、投薬によってウイルスの活動を十分抑制することができ、エイズの発症を予防することができる。HIVが最初に確認されたのは1981年。以来、世界ではHIVによる死亡者が2500万人におよぶ。治療面では画期的な進歩がみられるものの、いまだ治療薬は見つかっていない。
「オーストラリアはHIVの拡大を制御している世界のモデルとなる国だが、いまだ問題を抱えている」とドノヴァン教授。豪国内のHIV感染者数は現在1万7000人で、1年でエイズを発症する数はそのうち250人未満。昨年度、995人が新たにHIVに感染し、2007年度の1051人からわずかに減少した。しかし、1999年の718人と比較すると大幅に増加している。また、昨年HIVに感染した人のうち異性愛者の割合が21%に対してゲイが64%だったことから、ゲイの男性がHIVに感染する確率が最も高い。