自然災害発生時の行動
熱波
出典:オーストラリア気象庁
オーストラリアの気候は、1910年に観測が始まって以来、1.4℃温暖化しています。熱波はオーストラリアで最も危険な自然災害のひとつであり、他の自然災害よりも多くの死者を出しています。特に高齢者や幼い子どもなどは、健康被害を受けるリスクが高くなります。
熱波は、高気圧が熱い空気を特定の場所に運ぶときに発生します。高気圧の動きが遅いか静止した状態が数日間続くと、暑さが長引くことがあります。「特定の場所で平均気温を上回る日が3日以上続いている状態」が熱波と呼ばれます。この影響は、交通、農業、エネルギー部門、およびそれらに関連するインフラにも及ぶことがあります。
熱波の種類
- 低(low-intensity):最も一般的な熱波で、ほとんどの人が対処可能な暑さです。
- 中(severe heatwaves):熱中症に注意が必要です。高齢者や持病のある人などには厳しい状況になり得ます。
- 高(extreme heatwaves):健康な人であっても涼をとるための予防措置をとらない場合、熱中症などの危険があります。稀に電力や交通などのインフラの信頼性に影響を及ぼす場合もあります。
オーストラリアでは、今後4日以内に暑さの危険が予測される場合、熱波警報サービスを通じて一般に警告が発表されます。熱波が予測される場合、オーストラリア気象庁から現地時間午後3時に全州・準州で熱波警報が発令されます(WA州のみ午後2時)。 また、普段のニュースなどでも報道されるので、猛暑が続く日はこまめにチェックしておきましょう。
熱波発生時の対処
熱波発生中は、できるだけ室内にとどまり、喉の渇きを感じなくても水分補給を怠らないようにしましょう。アルコールやコーヒー、お茶は利尿作用があるため、スポーツドリンクや水で水分補給をしてください。
室内ではエアコンを常時つけておき、扇風機と併用すると効果的です。エアコンがない場合は、日中の涼しい時間帯に窓を開けて換気し、遮光布やブラインドで室内を涼しく保つことも助けになります。
また、涼しいシャワーを浴びたり、冷たい水をかけたり、冷たく湿らせた布を皮膚に当てると涼しくなります。
自宅が暑すぎる場合は、冷房の効いたショッピングセンターや公民館、図書館、市民プールなど近隣の公共施設で安全に暑さを凌いでください。
屋外では、可能な限り直射日光を避け、日焼け止めを塗り、ゆったりとした薄手の衣服で身を守りましょう。こまめな水分補給が重要なので、飲み物を持ち歩くことが大切です。スポーツや激しい運動は日中のピーク時をできるだけ避けるようにしてください。
熱中症
熱中症は誰でもかかる可能性があります。熱中症には、熱疲労、熱けいれん、あせもなどがあり、脱水は熱関連疾患の発症リスクを高めます。
熱中症になると体を冷やす機能が働かなくなり、体温が危険なレベルまで上昇します。放置すると後遺症が残ったり、死に至ることもあるため、早急な救急医療が必要です。
以下のような症状があったり、熱中症の心配がある場合は、すぐに「000」に連絡してください。
- 錯乱
- ろれつが回らない
- 興奮状態
- 意識喪失
- 大量の発汗や皮膚のほてり、乾燥
- 筋肉のけいれん、発作
- 急速な呼吸
- 速くて強い脈拍
- 非常に高い体温
救急車が到着するまで、本人もそばにいる人も、熱中症の悪化を防ぐために以下のような応急処置をしてください。
- 屋内の涼しい場所や屋外の日陰に避難する。
- 横になり、足を高くする。
- 衣服を緩めるか脱ぐ。
- 冷水スプレーを使ったり、冷たく湿らせたスポンジや布、氷嚢、湿らせたタオルに入れた砕いた氷などを首筋、鼠径部、脇の下に当てる。
- 衣服や皮膚を濡らす。
- 冷たいシャワーや入浴をする。
- 可能であれば、少量の水を飲む。
上記の症状がなくても、体調がすぐれない場合はかかりつけの医師に連絡するか、Healthdirect(1800 022 222)に電話してください。
熱中症の疑いがある場合、アスピリン、イブプロフェン、パラセタモールを服用すると有害な可能性があるため、事前に医師の指示を仰ぐようにしてください。
熱疲労
熱疲労は水分や塩分が失われたことに対する身体の反応のことで、通常は過度の発汗や過度の運動によって起こります。熱疲労の症状には以下のようなものがあります。
- 青白い皮膚
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- めまい、失神
- 脱力感
- イライラ感
- 口の渇き
- 大量の発汗
- 筋肉のけいれん
- 尿量の減少
熱疲労は重症化する可能性があるため、応急処置が必要です。本人もそばにいる人も、熱中症の悪化を防ぐために以下のような応急処置をしてください。
- 屋内の涼しい場所や屋外の日陰に避難する。
- 衣服を緩めるか脱ぐ。
- 冷水スプレーを使ったり、冷たく湿らせたスポンジや布、氷嚢、湿らせたタオルに入れた砕いた氷などを首筋、鼠径部、脇の下に当てる。
- 衣服や皮膚を濡らす。
- 冷たいシャワーや入浴をする。
- 水を飲む。
症状が改善しない場合、かかりつけの医師に連絡してください。症状が悪化し、熱中症の心配がある場合は、すぐに「000」に電話してください。
熱性けいれん
熱性けいれんは、熱関連疾患の中で最も軽いものです。汗をかきすぎて塩分が失われ、筋肉のけいれんや痙攣が起こります。激しい運動中や運動後に起こることがあり、熱疲労の症状として出ている可能性もあります。
熱性けいれんを和らげるには、水を飲むこと、屋内の涼しい場所や屋外の日陰で休むことが効果的です。症状が改善しない場合、かかりつけの医師に連絡するか、Healthdirect(1800 022 222)に電話してください。
参考:オーストラリア気象局