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資源部会「ハンターバレー地域石炭炭鉱・火力発電」見学会を開催

10/04/2007

資源部会「ハンターバレー地域石炭炭鉱・火力発電」見学会を開催

 -約6割が日本向け輸出の同地域石炭市場-


 シドニー日本商工会議所資源部会(部会長=田丸壮一・三菱ディベロップメント社)は2007年3月2日、好調著しいオーストラリアの石炭産業の現状を把握するためにNSW州のハンターバレー地域にある石炭炭鉱、石炭火力発電所の見学会を開催、27人が参加した。

▼ハンター地域から約6割の石炭が日本に輸出

見学したリデル炭鉱の様子 シドニーの北西約160kmにあるオーストラリアを代表するワインの名産地・ハンターバレーの周辺は、20以上の炭鉱がある豪州でも有数の石炭採掘エリアとなっている。

 今回視察したリデル炭鉱は、Xstrata社67.5%、三井松島オーストラリアが32.5%出資して運営されている炭鉱で、発電用に使われる燃料炭と製鉄用に使われる原料炭が採掘されており、その用地は2065haにのぼる。オープンカット(露天掘り)された土地から巨大な資源が採掘されている現場は雄大であり、資源国オーストラリアの存在の大きさを感じさせられる。

 日本においてオーストラリアは資源供給のための重要なパートナーで、ハンター地域から採掘される石炭の約6割が日本に輸出されている。現在、日本の電力の1/4が石炭火力でまかなわれており、その原料となる石炭の半分がオーストラリアからの供給に頼っているのだ。

50~70両の車両がニューカッスルの港に運ばれる 日本がこれほどまでにオーストラリアの石炭を好む理由の一つに、品質の良さが上げられる。例えば電力利用の場合、発電の際に生じる灰の処理が必要となる。品質の悪い石炭であれば灰の量が増え、その処理コストが高くなることから、電力会社にとって灰の出ない石炭の購入は、環境への配慮、廃棄物処理コスト削減から、重要な戦略の一つとなっている。

 また、日本で生産される製鉄、約1億2千トンの製造過程に重要な役割を担うコークスとなる原料炭が採掘されるのも、オーストラリア石炭の品質の良さを物語っている。炭鉱周辺には、50~70両も連なる巨大貨物列車が走る。これが日本の生命線となっていると考えると、改めてオーストラリアという国が日本にとってどれだけ大切な国なのかを再認識することができる。

▼電力の安定供給から重要度増す石炭火力

石炭火力発電所内の説明を聞く参加者 次に訪れたMacquarie Generation Bayswater Power Stationは、オーストラリアでも最新の火力発電所だ。同発電所のオペレーターに発電所内の案内をしてもらいながら、火力発電の仕組みを学んだ。

 微粉炭機で細かく粉末にした石炭(微粉炭)をボイラーに送って燃やし、この燃焼により水を高温高圧の蒸気にする。この蒸気の力でタービンを回転させ発電させるのが石炭火力発電の仕組みとなっている。この発電所の熱効率は36%とオーストラリアでも高い熱効率となっている。また、日本ではロスを押さえるために50万ボルトの送電を行っているのに対し、この発電所では2万3千ボルトの送電を行っているなど、日豪によって電力の運用の違いがあることに参加者は驚きを見せていた。

火力によって生じた蒸気を水にリサイクルする高炉 日本では、石炭火力発電は水力発電の次に古いものだったが、国内石炭の枯渇、環境汚染などを背景に火力発電の燃料は石油系を使うようになっていた。しかし、オイルショックを経験することで、石油やガスと異なり、石炭資源は世界中に広く分布されており、埋蔵量も多く値段も安いということから、エネルギー利用としての石炭が見直された。これにより、技術開発を進め、大気汚染などの環境対策の改善、熱効率も最新の石油火力発電とひけをとらない40%以上の最高水準にまで持ってきている。

 移動のバスの中では、各社の取り組みについて参加者から事例発表があり、豪州資源と日本との関係について意見交換が行なわれた。シドニー近郊に、日本を支える石炭地域があることを再認識する機会となった。

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