♦田舎と私♦
以前にもこのブログエッセイデ紹介させて頂いたのだが、何を隠そう私は京都生まれ・京都育ちの人間である。京都といっても、どちらかといえば大仏様で有名な奈良よりで、お茶畑や平等院が程近い宇治という街で生まれ育ったのだ。
当時実家の周りには、年中宇治金時を販売しているカキ氷屋と、口をぽっかりあけたおばあちゃんが不規則に営業しているクリーニング屋、そして庶民の味方ジャスコしかなかったものである。
私の実家の最寄り駅には特急や新幹線が通るような町とは程遠かったが、急行が停まる駅だったので、学生時代は“都会派人間”と勘違いしていばっていたものだ。
普通電車や準急しか停車しない最寄り駅に住んでいる友人には、“ド田舎者“などと田舎に”ド”までつけて、からかっていたのも記憶に新しいこの頃である。
そんな都会派の私がシドニーに移住してから10年が経つが、最近“私の都会派の歴史が勘違いであったのではないか”とか思わせる出来事に最近出くわしている。
先日仕事で東京に行ったあと、実家の京都に戻ったときの事である。(この時点で自分が“都会派”でない事に気付きたいところだが、頑固な私は“京都と東京は違うもの”として考えていた。私はくさいものにはフタをするタイプなのだ。)
学生時代の友人が5名ほど集まりミニミニ同窓会をすることとなった。この5人とは小学一年生からの知り合いで、変声期や反抗期をともにしてきた面々である。
彼らとは実家もすぐちかく、そのうちの一人の家の灯りが我が家の台所から見えるので、台所でサンマを焼いてる母が“ちょっとあんた!曽我君は今勉強してるよ!ほらみなさい!”などと、机にむかってる曽我君を指差し私の勤勉競争心をそそろうとしたが、“まぁ、えらいねぇー”とまるで他人事の私に母をがっかりさせていたものだ。
そんな彼らも高校を出てすぐに近くの工場やお店で就職、そして結婚し、なんとなく時の流れに身を任せて子供も数人できたというのだ。早い人になると、小学校の中学年をもつ3児の父になっているものもいたり、離婚して連れ子と一緒に再婚したが、これまた上手くいかず、別居しているものもいた。
そんな話の成り行きで、“学生時代のあの担任の先生はまだ健在らしい“とか、“社会の先生は欽ちゃんににていた”などと盛り上がっていたところ、友人の佐々木君が突然こういった。「欽ちゃん先生は今でも同じ学校で健在やでー、だって俺の娘の担任やもん!」 私は目玉が飛び出るくらい驚いたが、それに加えて曽我君がこういった。
「そういえばー、俺が幼稚園やったときの担任の先生はなー、今俺の娘の幼稚園の園長さんやでーー!がははははーーっ!!!」と大笑いした。
他にも学生時代にコンビニでバイトをしていた野崎さんは、今度はパートのままさんとして同じコンビ二に復活したとか、近くの魚屋で仕事が決まった森口君は奥さんが出産の時にたちあったところ、産婦人科の先生が学生時代のクラスメイトで病院を一泊ただにしてもらったとか、その時に生まれた子供と曽我君の娘が同じ幼稚園で仲良しこよしであるなど地元パワーを披露してくれた。
“人生皆兄弟“とはよく言ったものであるが、私の地元では今もなお”ミニミニ家族村“的なものが確立していて、昔懐かしい地蔵盆や盆踊り大会の日は”世代を超えての同窓会状態“らしく、親子三代のご近所付き合いをしている所も少なくないという。
”なんか俺ら水槽の中のグッピーの集団みたいやろー、だははははーーっ!!”と大笑いした曽我君は、3人の子供を前後に乗せてご機嫌さんに帰っていったのだ。
そんな可愛いグッピーの集団の後姿をカメラに収めた私は、グッピーギャングの幸せを分けてもらった気がした。 人生皆兄弟である。
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