◆生活産業部会「豪州ビール通・特別養成講座」を開催
生活産業部会(部会長=小島健一・兼松豪州会社)は2007年12月18日、キリンビールの協力により、同社が46%出資している豪州ビール会社の大手、ライオン・ネイサン社のビール工場の視察会を開催、18人が参加した。 今回の視察会は、日豪のビールビジネス、ビール製造の違いなどを把握するために行ったもの。集合場所となったライオン・ネイサン社の社員専用パブでは、同社の新製品KNAPPSTEINを試飲。また、同社の各ビールの特徴について説明を聞き、最初の目的地、大規模ビール工場のTooheys Breweryに向かった。 ▼1工場で20種類のビールを製造 Tooheys Breweryは、1975年にスタートした工場で、同社の工場でも大規模なものとなっている。到着後、まず、キリンビールの小沢一志氏から「豪州のビールの特徴」についてヒアリング。豪州のビール消費の特徴や日本のビールとの違い、そして、ライオン・ネイサン社の概要について説明を聞いた。 「豪州の一人当たりのビール消費量は日本の1.5倍。まさに世界最高水準にある」と話す小澤氏は、「この30年間で、日本の一人当たり消費量が40%増加(56本から78本)しているのに対して、豪州は25%減少(225本から170本)してきている」と最近の両国の消費動向について解説した。アジア移民の増加による食生活の多様化が、ビール市場にも大きな影響を与えているとのことだ。 こうした中、ビール産業については「もともと各州を代表するビールが存在するなど、ビールビジネスは、地域性の高い小さい企業体で産業が形成されていたが、ここ数年で寡占化が進んでいる」と説明。最大手フォスターズのシェア(53%)と同社のシェア(42%)を併せると、現在、2社で95%を占める寡占状況になっているのも豪州ビール産業の特徴といえる。また、日本は缶がほとんどなのに対して、豪州は樽、ビンが多いのも特徴といえる。 その後、同工場内を視察、繁忙期とあり、夏季は24時間体制で工場を稼動させており、この工場から同社製品の20種類のビールが製造されている。時間ごとにオペレーションが決められており、それぞれに併せた運営が行われていた。 ▼ピルスナー主体の日本、エール系の豪州 次に、同社のブティックブルワリー・Malt Shovel Breweryを訪問。ビールの作り方、ビール製造過程を学んだ。 冒頭、同社の五味雅裕氏より、「ビールの作り方、日豪のビール比較」に関する講演を聞いた。五味氏は、麦芽、ホップ、酵母、水といったビールの原料から作り方、さらには、止渇効果、利尿効果、食欲増進効果のあるビールの効用について解説したほか、豪州と日本のビールの違いについて説明。「両国の相違点は、大きく①原料、②製造品種、③製法、④パッケージ、⑤外観品質から見ることができる」とした上で、「豪州が原料を自国から調達し、地域性やプレミアムを重視した製造を行っているのに対して、日本は各社が全国ブランド主体で製造している。そして、ドイツ系のピルスナーで生ビール主体の日本に対して、豪州は英国の影響を受けていることから全て熱処理、エールタイプ・黒ビールなどの製品を好んでいる」と解説した。 説明終了後、同ブルワリーで作られたJames Squireの4種類のビールを試飲。それぞれの味の違いを楽しみながら、参加者間で意見交換が行われた。 |
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