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ホームレスになった友人

 

 
 Sydney Creative Photography

♦ホームレスになった友人♦

 

私がショーンに始めて出会ったのは今から15年ほど前の事である。

 
ワーホリメーカーとしてスーツケース1つでシドニー空港に到着した私は、早速当時バックパッカーが密集していたキングスクロスに向かった。
 
 
案内されたバックパッカーの部屋には二段ベッドが2つ置いてあって、そこでボロボロのシャツを手でのばしていたのがショーンだった。
 
到着するや否や、“俺ショーン、俺も今日ロシアから到着したんだ。ヨロシクな。”とマリファナに火をつけた。
 
“シドニーに到着してロシア人とのシェア、それもマリファナ好きか・・。“ 
 
そんな始まりだったが、彼も私と同じ22歳で、シドニーに到着した日と部屋が同じという事も何かの縁、彼がそう思ったかは知らないが、昼間は一緒にシドニー観光をしたり、週末はブルーマウンテンまで行ったり、夜はキッチンで自炊したりして2週間程過ぎた。
 
そんなある日彼はブリスベンに旅行に出ると言い出した。 
 
別れは辛かったが、“旅の出会いは別れも早い、またどこかで会えるだろう。”
そうお互い約束してメールアドレスを交換し、ブリスベン行きのバス停で別れを告げる事になった。
 
それからもショーンとはメールで連絡をとっていたが、ある期間を境にショーンから返信が返ってこなくなった。
 
“きっとロシアに戻って、また新しい生活が始まったのかもな、元気だといいな。”
 
そう願って10年以上が経過した。
 
そんなある夜、撮影が終わりダーリングハーバー付近を歩いていた秋の夜、
汚れた毛布の上に座ったホームレスの男の前を通りかかった。
 
素足と服は真っ黒に汚れ、散乱したビニール袋からは強烈な異臭がしていた。
私は小銭の20セントを数枚マグカップに落とすと、ホームレスの男はゆっくり顔をあげた。
 
その瞬間、私は凍りつきそうな気分になった。変わり果てた姿は紛れも無くショーンだっだ。
 
“ショーン、覚えてる?俺だよー、俺!” 
 
私は膝を落とし彼と目線をあわせようとしたが、
彼の目はぼんやりしていて、どこも見ていない様子だった。
 
“お腹すいてるの?ねぇ、覚えてる?どうしたのこんな所でー、ねぇーって!!”
 
ショーンはまた下を向き、首を横に振るだけで、目を合わせようとしなかった。
 
私はどうしようもない気持ちになって涙がいっぱい溢れた。“近くのフードコートでテイクアウェイを買ってくるから待っとけよ”
そう言ってその場を離れ、戻ってきた頃には彼の姿は無かった。
 
私はそこに立ち尽くし、涙がいっぱいあふれて何にも考える事が出来なくなった。 
 
もしまた彼に出くわしたら、私に出来る事は何だろう。確かな解決策が見出せないまま、シドニーの冬が終わっていった。
 
 
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