どの季節が好きですか?と聞かれると、自分の生まれた季節が好き、と答える方が多いという話を聞いたことがあります。
確かに10月生まれの僕は「日本の秋」が大好きで、あの何とも言えない郷愁にかられる季節が魅力的に感じます。
賑やかで、華やかだった夏が終わり、冬支度が始るまでのほんの一瞬の季節(故郷金沢はあっと言う間に冬が訪れます)。
秋の澄み切った憂いある夕焼けは、他のどの季節の夕暮れよりも美しいと思います。
と、こんなこと書いていますが、一番の魅力は「食欲の秋」です(笑)。そして「読書の秋」という響きにも惹かれます。
でもここオーストラリアでは、秋より春が好きなんです。なんかこう夏に向けて、ウキウキ、ワクワクしてくる感じ。
夏は夏で好きなのですが、夏本番になるまでのプロセスの方が楽しくないですか?
小学生の頃、土曜の半ドンが終わってからの下校時間が楽しかったのと似た心境です。
帰宅して、土曜昼過ぎにやっていたテレビ「吉本新喜劇」を見るのが楽しみで楽しみで(笑)・・・
それに反して、日曜夕方の「サザエさん」の終わりのテーマソングが始ると、悲しくて悲しくて・・・と、そんな心境です。わかりました?(笑)
なので、季節というより自分が生まれた「月」が好きということでしょうかね?みなさんはいかがでしょうか?
ということで、今週は僕の誕生日でした。41歳の誕生日には、チフリータワーの41階にあるモダン・オーストラリアン「Fourty One」で祝いました。
こんなこと考えるの僕たちだけだろうか?いや、きっとみんなやっているに違いない・・・
でもあれはいつの事だっただろう?ごく最近のような気もするし、随分遠い昔のような気もするし・・・はて?今年は何回目の誕生日?笑
さて、今回奥さんが連れて行ってくれたのはサリーヒルズにあるツーハット・レストラン「Assiette」です。
モダン・オーストラリアン&フレンチのお店で、今回初めて訪問しました。
さすがツーハット・レストラン!平日だというのに賑わってますねー。 入店した瞬間からとてもアットホームな雰囲気が伝わってきました。
回りのお客さんも誰もかしこまっておらず、賑やかに楽しくお喋りしながら食事していました。
店内は白と黒のモノトーンが基調となっていて、シェフのエプロン、絵画、メニュー、スタッフの服装なども白黒で統一されています。
このこじんまりとした空間、温かみがあっていいですねー。ほとんど正方形に近いフロアに、まちまちの角度でテーブルが置かれいて、
それぞれ勝手な方向を向いての食事。こんな感じ大好き。店内には死角というものがないので、当然サービスも行き届いています。
でこのサービスがまたかしこまってなくて、とてもいいんです。フロア・スタッフは3人いて、みんなそれぞれ個性的で面白かったです。
ソムリエは機敏でちゃきちゃき、清潔感ある爽やかなサーブ。もう一人の熟練スタッフは、エレガントで気品があり、
でもちょっとギャグも入っているユニークなサーブ。そして最後のスタッフは、料理名と料理の説明を一生懸命に覚えたであろう、熱血サーブ。
入れ代わり立ち代わりでおもてなししてもらいました。
予めネットでメニューを下調べしておいたのですが、デザートも入れて10コースもあるディガステーション・コースは食べきる自信がなかったので、
今回はアラカルトでオーダーすることにしました。。
<Rock oysters with Vietnamese dressing and baby coriander>
オイスター自体は肉厚でミルキーな味わいがあり美味しかったですが、このベトナム・ソースとコリアンダーの香りが、
せっかくの磯の香りとぶつかっているような気がしました。アイデアとしては面白い組み合わせだと思います。
アミューズ・ブッセの<Pampkin soup>
カボチャとバターの濃厚な味わいが上品にひき出されています。一口飲むと、喉から食道を通って胃に落ち着く一連の流れが、
スローモーションのようにじっくり感じられ、ほっと一息つく温かみのあるお料理です。パインナッツが味と食感のアクセントになっています。
<Croustillant of wagyu beef cheek with celeriac puree, port jelly garlic snails>
メインはシーフードと決めていたので、オントレはお肉にしました。メニューを見て即決したのがこちら。
運ばれてきた瞬間、思わず「うぉー」と小さく言葉がもれました。それほど美しくゴージャスな見た目ですが、
どんな味わいの料理なのか見ただけではさっぱり見当がつきませんでした。
春巻きのようなパリパリの皮を破ると・・・出てきました、和牛の頬肉が!(ちょっと興奮ぎみ) まずはそのまま何もつけずにいただきました。
うん、ジューシーな和牛の旨みがしっかり味わえます!香りもいいです。赤ワインがほしい・・・笑
今度はセロリの香りのピューレ・ソースと共に。うん、爽やかな香りが混じることでお肉の旨みが一層引き立ちます。
ソースをつけただけで、今度は白ワインがほしくなります・・・笑
「port jelly」とはポートワインのジェリーってことかな?甘味がありツルンとした食感で美味しかったです。
いやー、素晴らしいディッシュでした!オントレから既に感動。
<Terrine of Thirlmere duck and foie gras with cured duck breast, raisin, cumquats, and toasted brioche>
これは奥さんのオントレ。 鴨とフォアグラの贅沢なテリーヌが、熟成された鴨の胸肉、干しブドウ、キンカン、ブリオッシュなどに囲まれています。
これまた見た目がお見事な一品で思わずため息が漏れます。目の前で奥さんが「美味しい~!」を連発しています。
早く味見したかったのですが、僕も自分のオントレに魅了されていてなかなか箸(フォーク)がこのプレートまで届きません。
お互い自分の料理に夢中で、相手のディッシュのこと忘れています・・・笑
でもさすがにお互いの料理がなくなりかけてきたので、ここで味見タイム!
砕いたピスタチオがたっぷり入った鴨のテリーヌが、中央のフォアグラを包んでいます。想像よりこってりしていなくてとても上品な味わいです。
フォアグラとテリーヌの滑らかな歯ざわりと、胸肉のしっかりとした歯ざわりが対照的です。
一羽の鴨からこんなバラエティーにとんだディッシュが出来上がるのですね。その技に感服しました。
<Crispy skin snapper with baby squid, chorizo, zucchini and piperade>
ズバリ「Crispy skin snapper」の表記に惹かれてほぼ即決した僕のメイン。何はともあれ、なにもつけず鯛を一口頬張る。
うぉーーー。涙がでてくるぐらい美味しい!この香ばしい焼き加減が伝わりますかね?
完璧な黄金色に焼かれた皮は見た目通りパリパリで、表面の白身の部分もこんがりカリカリに焼かれています。
そのこんがり部分が旨みをしっかり中に閉じ込めているので、絶妙に火が通っているホクホクの白身の美味しいこと!
次にズッキーニ・ソースとからめて一口。うん、海の幸と大地の幸が出会って、また新たな味わいをかもし出します。これまた美味しいです!
こちらも鯛に負けず劣らずこんがり焼かれている、見た目が食欲をそそるイカ。
さすがベイビー・スクイッドだけあって、その身は柔らかくスッと噛み切れます。
コンガリ香ばしい部分と磯の香りが残るプリプリの身の部分、白ワインの肴として最高の一品でした!
イカに巻かれているのは魚のすり身のような味わいでしたが、何かはわかりませんでした。そして実はこのイカの後ろに隠れているゲソが絶品!
チョリソーもベリー・グッド!このプレート、焼き加減自慢のオンパレードとなっています(笑)。
<Panfried dory with seared scallops, onion bhaji, cauliflower puree and mango chutney>
奥さんのメイン。僕のプレートとは違い、こちらはほんのり優しい焼き加減が売りのディッシュ。
ホタテはこれぐらいの焼き加減が一番いいですね。ホタテの甘さが一際引き立ちます。身もしっとりしていて柔らか、美味しいです。
主役のドリーも薄っすらと焦げ目がつく程度の焼き加減。身はジューシーですがあっさりした味わいです。
わりと淡白な味わいなので、調理方法やソースによって何色にも変わるお魚だと思います。
今日の焼き加減、カリフラワーのソース、どちらもドリーの味わいを上手く引き出していると思いました。
この時点でお腹は一杯ですが、全体的に優しい味付けなので全く胃がもたれません。
今日は奥さんのおごりということもあり、食べちゃえ、ってことでデザートに突入!笑
口直しにでてきた<GrannySmith apple jelly with vanilla syrup and apple granita>
魚料理の後だったので、口の中がすっきりしてデザートOK体制に!
<Financier with poached mandarin, dark chocolate chantilly and cardamon ice cream>
バターたっぷりの濃厚でしっとりとしたフィナンシェと意外とあっさりのチョコレート・シャンティイの組み合わせ。
カルダモン・アイスがフィナンシェの濃厚さを緩和してくれます。このマンダリンも新鮮な味わいで美味しかったなー!
最近デザートまで食べるのが完全にクセになってる・・・笑
さすがツーハット・レストランです!お料理はどれも手が込んでいて、上手に調理されています。
そして不思議な感想なのですが、このお店なぜか、お客さんとスタッフとシェフとの一体感があります。
レストランという舞台の上で、それぞれがそれぞれの役目を持ってキャスティングされているように。
僕たちはさしづめ、アジアからの熟年夫婦の旅行者といった配役だろうか・・・
男はこの世に生まれてきたことに感謝し、女はそれを祝福するの図・・・ハハハ、そんな格好いいもんじゃないか・・・笑
う~ん、今年の誕生日も悪くないねー ぜひまた訪れたいお店でした!
48 Albion St, Surry Hills
9212 7979
www.restaurantassiette.com.au
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