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【絵本】 第7回 絵本を取り巻く環境(その2)

Commercialism (商業主義) の中で育つ子ども達

前回は、現代の子ども達が原作本だけでなく、その話を基に制作されたテレビ番組・映画・関連キャラクター商品に囲まれて

育っている状況をお話しました。 ちなみに、この中にもう一つ加えなくてはいけない重要なメディアがありました。

それはゲームソフトです。こちらも原話の映画化と同じくして(または、意図的に映画化に先行して)ゲーム化されるようです。

子育て中の皆さんならば既にお気づきだと思いますが、子ども向け市場は本当に広範囲にわたって、かつ迅速にメディア

ミックスを用いた宣伝と販売活動を行っています。映画化が発表されると同時にキャラクター商品の販売を始めて、映画の

宣伝も兼ねるというわけです。またもちろん、映画化に合わせた特別装丁版の原作本や映画を基に作られたアニメ仕立て

の絵本の出版も行われます。

このような状況の中で子どもとそんな“話題の本”を手にとる機会があると思います。子どもは既に映画を見ていたり、テレビ

でアニメーション版を見ているかも知れません。またはゲームで主人公と一緒に冒険を体験済みだったり。そこでぜひ子ども達

と一緒に以下のような点を考えてみてください。

1.巷で言われている評判、書評と自分の感想はどんな風に違っていたか

2.映画やテレビで観た内容と自分で本を読んで感じた部分はどう違っていたか

そのように 周りの評価や宣伝を客観的に捉え、「自分なりの視点」を常に持つことが大切だと思います。

映画が大ヒットしていたり、キャラクターグッズをよく見かけるからといって、

決して物語も優れているとは限りません。

また映画や本の評判が良いからといって、自分の子どもがその物語を好きになるとは限らないし、

それは自然なことなのです。

世間での評価、受賞暦などに惑わされず、自分の子どもがその絵本や本を好きかどうかを重要視してほしい、というお話は

第6回 原書で読みたい絵本(その2) の中でも 絵本作家 モーリス・センダックと ある母親との会話として触れました。 

Commercialismは巧みに私達の生活に入り込んできますが、その点を認識しつつ、上手に共存するためにも親子で「自分なりの視点」を忘れないようにしたいものです。

<今週のお薦め本>

ライオンと魔女  -ナルニア国ものがたり1 

C.S.ルイス作 瀬田貞二訳  岩波書店

最近また映画化され話題になった冒険ファンタジーの原作です。

ドラえもんは、のび太の机の引き出しから出てきましたが、この物語では、古い衣装ダンスがナルニア国につながる通路。

全7巻の中でナルニア国の建国から戦い、終焉までが巻き込まれる4人の子ども達の視点で書かれています。

ちなみに英語版はナルニア国の歴史順に沿って並んでいるので、第一巻は

『The Magician’s Nephew』(邦題 『魔術師のおい』 となっていて若干ずれています。

少年期に必ず読みたい冒険ファンタジーの一つと称される本書ですが、私は読んでません!

今は、娘と一緒に冒険できる日を楽しみにしているので、たぶんその日まで映画は観ません。

 

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