私が自分の出産体験について振り返るとき、真っ先に思い出すのが表題にあげた
「Expect the unexpected」という言葉である。
この言葉を、私は出産準備のために夫と受講したPrenatal Classの中で聞いた。
経験を積んだMid Wife(助産婦)である講師が、出産の一般的な心得と起こりうる経過について
様々な説明をした後に、授業の最後をこの言葉で結んだのである。
「予想できないことを予想しなさい」。つまりどんなに予想を立てて心の準備をしていても、
実際の出産では何が起こるかわからないことを肝に銘じておけ、ということである。
なるようにしかならないってことね、と気楽な気持ちで受け止めた私は、
実際の出産でその言葉の意味を思い知らされることになった。
私の第一子出産は、かなりの難産の部類に入るだろう。微弱陣痛が始まった28時間後に病院に行き
(不眠と不安のため既にヘトヘト)、なかなか陣痛が本格的に始まらないので人工破水が試みられ、
それでも陣痛がうまくつかず、血圧は異常に上がり、このままでは危ないということで陣痛促進剤が打たれ、
その痛みの緩和と血圧上昇を抑えるために無痛分娩の麻酔を脊髄に打たれた。
その後、促進剤のおかげで陣痛は順調に進み(でも麻酔のおかげで痛みはまったく感じない)、
子宮口が開いていざ出産となったとき、今度は赤ちゃんの片手が頭と一緒に子宮口に挟まり、
なかなか出てこないという事態に。医師が吸引を試みたがダメで、最後はかんしで赤ちゃんの頭をつかみ、
引っ張ってようやく生まれ出てきた。微弱陣痛から数えると42時間くらい経過していた。
いやはや、思い描いていた順調な普通分娩とはほど遠い、医療介入テンコ盛りの出産であった。
経験していないのは帝王切開くらいである。
私とて、真面目に定期診断に通い、バランスよい食事と適度な運動を心がけ、検査結果は
全て順調で問題なく、Prenatal ClassやMaternity Exercise Classにせっせと通い、ベビー用品、
出産用品も万全に買い整え、準備おさおさ怠りなく出産に挑んだつもりだったのである。
本当に何が起こるか分からない。医療の進んでいない昔だったら、苦しんだ挙句母子ともに命を落として
いたかもしれない。恐ろしいことである。現在の医療技術に感謝!
これだけの長時間、ほとんどずっと傍についていてくれた夫はどんなに大変だっただろう。
こうして、夫の協力と現在の医療技術の恩恵を受けて生まれてきた赤ちゃんを自分の胸に抱かせてもらったとき、
思わずこぼれた言葉は「ごめんね、長くかかって。苦しかったでしょう?」。
その小さくて奇妙な、ちょっと火星人に似た生き物を見つめながら、安らかな満足感と温かな愛情がどっと押し寄せてきた。
そう、こんな不思議な幸福感を味わえたことも、予想以上のことだった。(さかな)
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