お買い物で「1ドル98セント」なんて値段の場合、レジで現金で支払うとき、通貨の最小単位が5セントだから切り上げられて「2ドル」になってしまいます。これって2セントぼったくられていることですよね? これまで何度1セントコインがあれば良かったと思ったことか。でも、昔は1セントと2セントのコインがあったんです。どうしてなくなっちゃったんでしょう。
そこでまずオーストラリアのお金のお話しです。
イギリスの植民地としてスタートしたオーストラリアは、当然お金もイギリスのポンドを使っていました。でも、ポンドが公式通貨として決められたのは1826年です。第一次移民船団がやってきた1788年には移民者たちのポケットに入っていたお金があるのみで、開拓時代はまさに物々交換だったんですね。給料も、例えばシドニー病院の建設に従事した労働者には「ラム酒」が支給されたそうです。
その後、1966年に通貨がポンドからドルに移行し、この時、1c、2c、5c、10c、20c、50cが発行されました。その後、$1コインは1984年に、$2コインが1988年に発行されます。ところが、1cと2cは1992年に流通が終わってしまいます。原料の銅が不足したのがその理由ですが、一説には、2cコインにエリマキトカゲの図柄があり、当時、日本で大ブームのエリマキトカゲのおかげで、日本人観光客が2cコインを大量に持ち出したのが原因だとか…。ちなみに1cと2cコインはいまでもお金として有効ですが、一度、銀行で他の貨幣に両替しなければなりません。
さて、1cと2cコインがなくなり、5cコインが最小単位となってしまいました。毎日のお買い物では、5c単位に切り上げたり切り下げたりして帳尻を合わせています。これは“2捨3入・7捨8入”の原則を使います。例えば、91cや92cの場合は「2までは捨てる」原則で90cに、93cや94cは「3からは入れる」原則で95cにします。同様に、96cや97cの場合は「7までは捨てる」で95cに、98cや99cは「8からは入れる」で$1になります。レシートに「Rounding」とあるのがそれです。でも、いつも支払いは、98cや99cで切り上げられることのほうが多いような気がしますが、そう思いませんか。
ところでお金って一度に使用できる数量が決められているの知ってましたか? 5c、10c、20c、50cは最高$5まで、$1、$2、$5、$10は、額面の10倍までしか一度にレジで出すことができません。確かに100ドルの買い物を全部5cで支払ったら大混雑ですよね。
さて、雑学のおまけです。お金に裏表があるのは知ってました? エリザベス女王の肖像のある面が表ですよ。また、いまではオーストラリア・ドルとか、豪ドルとか言っていますが、ポンドから移行する時に新しいお金の呼び方を何にしようかと考え、ドルのほか、「royal」「merino」「austral」などが候補に挙がったそうです。
国際社会のグローバル化が進んだ影響もあり、日本国内でも英語をはじめとする外国語を話す機会は、以前と比べて多くなりました…