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夢のラップもういっちょ

♪夢ふたたび教えてくれたのは

ディランでもスプリングスティーンでもなく

朝もやを突いて走る滝沢正光

走ることでしかそがれていかないものの

沢山あることを知っている

滝沢正光様が走っている

あこがれゆく理由がそこかしこにある

(友川かずき「夢のラップもういっちょ」)

というわけで、のっけから友川かずきじゃ、みんな引いてしまうかもしれませんね。

それにしても競輪競馬競艇には夢やロマンが、そしてなにより人生があります。人や馬が懸命になっている姿が自分自身に投影されて、自身の人生をかけてしまうんですね。

同じ賭け事でもオーストラリアで盛んなポーカーマシンには、そんな夢やロマンなんかこれっぽちもありません。あるのはとにかく金、金、金です。「所詮、同じ賭け事、ギャンブルじゃないか」と言うなかれ。ポーカーマシンと競輪や競馬じゃ、天と地ほどの差があるのです。なにせ、友川かずきの夢のラップもういっちょです。

夢もロマンもないポーカーマシンですが、人生かけちゃっているのはおなじですね。なにせ人生かけすぎてボロボロになっている人がたくさんいます。

いわゆる社交クラブにはポーカーマシンがずらっと並び、朝から多くの人が一日中、当たりが出ないかと機械と向き合っています。

オーストラリア人が年間にポーカーマシンに投入する金額は、なんと!120億ドルです。(2009年度) 全国には20万台のポーカーマシンがあり、半分の10万台近くがニュー・サウス・ウエールズ州に集中しています。それも高額な金額が配当される「ハイ・インパクト」マシンです。

このポーカーマシン、30分間に350回も賭けられる機械が登場し、もう少しで当たりが出ると思わせる巧みなシステム設計で、どんどんお金をつぎ込みさせているんです。つまり機械そのものがどんどんお金をかけるように設計されているんです。

こうなると、一攫千金を狙って宝くじを買うようなものではなく、欲望を抑えることができない衝動制御障害ということでもなく、もはやギャンブル依存症という病気になっている状態ですね。

ポーカーマシンを楽しむ人の約15%、16万人がこのギャンブル依存症だとされています。総額120億ドルのうち40%はギャンブル依存症の人からで、彼らはひとり年間平均2万1000ドルも費やしているんです。週末に楽しむポーカーユーザーでも年間7000〜8000ドルもつぎ込んでいます。

勝手に自分の金を浪費すればいいじゃないかとは思いますが、そのために借金地獄に陥ったり、家庭が崩壊したり、なかにはダーウィンのカジノでポーカーマシンに160万ドルもつぎ込んだ人が、カジノに入り浸り状態で子どもの面倒を見ないため、その子が誰にも看病されずに亡くなってしまったという事件もありました。

そこで政府は、機械自体に高額賞金を出させなくするとか、利用者のデータ登録から分析してギャンブル依存症とされる人に警告を発したり、ギャンブルさせないようにしたり、一日の利用金額を決めてそれ以上はできないようにするなど、対策案を練っています。

当然、ポーラーマシンを持つクラブ産業は大反対しています。個人の自由な活動を制限するべきじゃないともっともらしい意見を言っていますが、要は自分たちの収益を減らされたくないということです。このクラブ産業には14万5000人が従事し、政府にとっても産業全体からの税収の13億ドルがポイントになっています。

ギャンブル依存症を減らす健全な政策の実行か、クラブ産業のロビー活動に負けて14万5000人の雇用と13億ドルの税収を守るか、さてギラード政権はいったいどんな対策を打ち出してくるのでしょう。

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