昨日、連邦下院議会で炭素税法案が可決されました。上院での法案可決は間違いないため、これで炭素税が、来年7月1日から導入されることになります。
この炭素税は、企業が排出する二酸化炭素1トン当たり23ドルを課税するというもので、企業の負担増は、結局、商品やサービスの価格に反映されて、物価の上昇ということにつながります。
なんだか日本の復興増税と同じで、環境保全のために税金を上げて、それが消費者に跳ね返ってくるということですね。目的は良しとしても、具体的な毎日の暮らしが「値上げ」ということで落ち込むことのないようにしたいのですが、なかなかそうもいきません。
先週の新聞に、「暮らし向きは良くなっている」なんていう記事が載りました。えっ!と驚きですが、政府統計局によると、オーストラリア国民の平均的な生活の質が、かなり良いのだそうです。(Measures of Australia's Social Progress 2011)
10年前と比べて、国民はより健康的に、また教育も広く行き渡り、労働参加率も高くなって、収入も貯蓄も増えているのだそうです。
例えば平均寿命は、女性で2.1歳延びて83.9歳に、男性が3.1歳延びて79.3歳になりました。また、25歳〜64歳の学歴は、大学卒が18%から27%に、高等教育修了資格が50%から63%に、それぞれ伸びています。失業率も6.8%から5.3%に下がり、所得は22%伸びています。個人資産はどのくらいかというと、28万5,700ドルから、30万8,500ドルへと増えています。インフレ調整後、8%の伸び率です。
なんだか良いこと尽くめのような気がしますが、まさか、そんなことはありません。必ず裏があるもので、注意してみなければいけません。
まず生産性が落ちていて、年間1%の減少を示しています。また、環境がかなり悪くなっています。温室効果ガスの排出量は13%増えています。結局これが、炭素税導入になり、その後、排出量取引制度の導入になっていくわけですね。環境悪化は生物多様性にも影響を与えていて、絶滅危惧種の数が332種から432種へと増えています。
総体的に暮らし向きが良くなったようですが、その代償として環境悪化を招いてしまったようです。今後10年先を考えると、周りの環境に目を向けて生活することの重要さが求められているようですね。