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お久しぶりです。こころの相談室で総務を担当しているキャルです。
事情があって、帰国しています。
今後はいつものように、私が感じることに加え、日本のこともお届けしたいと思います。
宜しければ、音楽を聴きながらお読みください。
http://www.youtube.com/watch?v=uKgmu8g-kXE&ob
3.11から1年が過ぎました。詳しい現状を知るにつれ、言葉もありません。
いえ、次々に伝えられる報道を前に、未だ呆然となってしまいます。
校庭に転がる、3隻の漁船。2時46分で止まっている校舎の時計。
誰もいない街に、いつも通り点灯する黄色信号。
沿岸部に山積みになったがれきや舟、家の残骸。
死者1万5854人、行方不明者3155人、避難者34万3935人。
本当に、あの日から1年が経ったのでしょうか。
内戦続くアフガニスタン・カンダハル州を始め、世界各国から頂いた義援金は…
言葉も、ありません。
しかし、そんな最中、日本の音楽に励まされました。
冒頭に紹介した歌は、その中の1つです。
こんな話を聞きました。
あるアーティストは、矢も楯もたまらず、早々に、被災地にボランティアにかけつけたそうです。
「自分に何ができるのか」
重い疑問に、打ちのめされるアーティスト。
ーー歌う事しかできない自分が、こんな時に何ができるのか。
ーーそもそも歌ってなんなのか。
ーー何もできない、単純な作業しかできない自分。
がれきの除去などの作業をこなし、もんもんと考えていた、そんな時。
アーティストの方の存在に気付き、『歌って下さい』と被災された方から頼まれ、歌い始めたそうです。
すると、徐々に人が集まり始め、みんなに笑顔が戻った。
これが、現在の日本のアーティストの方々に共通する”思い”ではないでしょうか。
音楽がはっきりとしたメッセージを持って、社会の中で、その役割を担っています。
あるテレビ番組では、1人のアーティストが、『自分は歌うことしか出来ないから』ともおっしゃっていました。
そう、歌うことしかできない。
けれど、それがどれだけ尊い行為なのか。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
ここで少し、日本の社会について振り返りたいと思います。
私たちは、近代化してから3度震災を体験しました。
1923年9月1日の関東大震災。次いで、95年1月17日の阪神・淡路大震災。そして2011年3月11日の東日本大震災。
これらが、国民的に共有した震災です。
関東大震災で顕著だったのは、外国人を排斥しよう、という動きでした。混乱の中で流言が広まり、一般民衆による朝鮮や中国の方への虐殺が起きました。また、震災で市民が火災から逃げたことを、後に陸軍大佐が論文で批判的に書きました。『逃げるな、戦え』という、社会を守る『防災』と軍事的な『国防』という思想が結託した事実です。(実際には逃げ道を確保した上での防火活動でした)
阪神・淡路大震災では、市民がラジオ局を立ち上げ、被災した外国人のため外国語で放送しました。戦前の社会とは大きな様変わりです。ただし、春の選抜高校野球を中止せよという議論が起きたり、バレンタインデーのチョコレートを自粛せよという声も出てきました。
そして、東日本大震災。被災した会社の経営者達が研修に来ていた中国人労働者達を助けようと奔走し、いったん帰国しようとした外国人達が一緒に再建に取り組みたいと戻ってきました。
*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*~*
(*~*のライン内は、朝日新聞 2012年3月9日付朝刊13面 の記事を元に書いています)
これだけ、私たち日本の社会は変化してきました。オーストラリアの様に「外国人」を「移民」と呼べる社会ではありませんが、社会と人々の意識に、根本的な変化を見ることができます。
東日本大震災は、言葉では到底書き尽くすことのできない、大変な不幸でした。
しかし、パニックにならず道路を譲り合った事で諸外国から大きな評価を受けた平和主義の精神、音楽やスポーツによる支援という文化主義、上記のような国際主義が垣間見えました。
では、ひるがえって、今を生きる私たち個人としてはどうでしょう。
何のために生きているのか。
何のために生きなければならないのか。
ーー事実を知っていく程に、私にはこの疑問が突きつけられます。
私たちには、それぞれ役割があります。
そして、個人が『頑張ろう日本』と言うには大きすぎる事実ですが、音楽やスポーツを始め、みんなが『頑張ろう日本』と求めることには、大きな意味があると思います。
それは、震災という極めて特殊な状況によって見えてきた、私たち社会の変化を見ることでも明らかです。
私はまだ、この震災をどう受け止めれば良いのかはっきりとはわかりません。
ただ、どのような姿勢で生きるかはわかります。
※被災された方に、自分ができること。これは、全く別の話です。
どんな人にも終わりが来ることを知るには、大きすぎる不幸でした。
しかし、これは変えようのない事実です。真理です。
私はあと50年も生きません。
もしも明日命がなくなるとすれば、誰ともケンカなどしないでしょうし、お金も、地位も、名声も、何もいりません。
ただ、笑って一生懸命自分の人生を生きていられれば、それで良い。
どうか皆さん、未来を、待たないで下さい。
それぞれの国で、それぞれの場所で、それぞれの思いを持って、生を発揮して下さい。
私たちは、そのために生きているのだと、思います。
”君が笑えば この世界中に
もっと もっと 幸せが広がる
君が笑えば すべてがよくなる
この手で その手で つながる”
あなたが笑えば、あなたの世界は輝く。
自分だけにしか出来ない一日の中で。
絶対に忘れない一日を胸に刻みながら。
2012年3月11日(日)
キャル
St. James Trust Building, Suite 219, Level 2, 185 Elizabeth Steet, Sydney 2000
TEL:0416-006-835
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