”シドニー発豪ドル見通し”(毎週月曜アップデート) |
||
|
|
|
(米ドル円日足)
|
豪ドル米ドル日足) |
(豪ドル円日足) |
Joe Tsuda のプロフィール
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在Junax Capital,AT FUND,Sydneyでファンドマネージャーを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。
豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。
趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
今週の主な予定、イベント
5/28(月)米国休場(メモリアルデー)、日銀議事録、スティーブンスRBA総裁講演
29(火)日本4月雇用統計、石原都知事講演、ポルトガル中銀金融安定報告書、米3月S&Pケースシラ∸住宅価格
30(水)豪4月小売売上高、ユーロ圏5月消費者信頼感・業況判断指数、ブラジル中銀政策金利、ドラギECB総裁講演、欧州委員会―ユーロ非加盟国の将来的な導入に関する報告書、ダドリーNY連銀総裁講演、ローゼングレン・ボストン連銀総裁講演、日本5月上旬貿易収支
31(木)独5月失業率、ユーロ圏5月CPI、米5月ADP雇用者数、米Q1GDP改定値、米新規失業保険、イタリア・モンティ首相講演、ピアナルド・クリーブランド連銀総裁講演、アイルランド国民投票(EU新財政協定への参加を巡り)
6/1(金)中国5月製造業PMI、ユーロ圏4月失業率、米4月雇用統計、米5月ISM製造業景況指数、EUがシャドーバンキングに関する規制案公表
マーケットの焦点
キーワード― ギリシャのユーロ離脱問題、米経済と金融政策(5月雇用統計)、日本の格下げ、中国景況
先週はリスク回避の動きに若干緩みも見られ、主要国の株価は前週比大幅続落はしませんでしたが、商品相場などは依然軟調。
前週末のキャンプデービッドG8を挟んで、やや緩和したかに見えたギリシャのユーロ離脱問題ですが、火曜日にはパパデモス前ギリシャ首相の発言「ユーロ離脱の用意を想定」により、再びリスク回避が激化し、一時ユーロは1.25台割れ、99円台前半まで下落しました。
G8が声明で「ギリシャはユーロに留まるべき」と言及したことから、このところギリシャは強気に支援条件の緩和を訴えており、また6/17の再選挙に向けて財政緊縮派と反財政緊縮派の攻防が続いていますが、最新の世論調査では”財政緊縮/ユーロ残存派”がややリードしているとの結果も出ています。
ただ先週末はギリシャのみならずスペインの銀行不安や地方財政問題もクローズアップされており、依然として欧州不安は払しょくされません。
また、先週もリスク回避局面では「円高・ドル高」地合いが顕著となりましたが、米国景況では今週金曜日の5月米雇用統計の結果が注目されます。
先週はハト派(金融緩和派)で知られる、ダドリーNY連銀総裁までQE3に慎重な姿勢を示しましたが、世界経済減速懸念が高まる中、米国経済のけん引力に期待する声が従来にも増して聞かれます。
更に先週は格付け会社フィッチが日本の高水準の公的債務を理由に、9年ぶりに日本のソブリン格付けの格下げを実施しました。
実際日本の現在の財政赤字は対GDP比で8%超え(米国・ギリシャが約8%弱)、債務残高が対GDP比で240%(ギリシャが150%強、米国が100%強)は世界断トツです。
加えて4月の貿易収支は-5,202億円でしたが、5月からの原発停止に伴うエネルギー輸入増加を考えると構造的な赤字傾向にあることも考えられ、一旦リスク回避の動きが収まれば、”円売り圧力”が急激に高まる可能性も指摘されます。
また景気減速懸念の高まる中国では、追加金融緩和観測が収まりません。先週温家宝首相は「景気の下振れ圧力が高まっている」と警告していますが、今朝もスティーブンスRBA総裁は「中国の統計は弱含み。中国経済は注視すべき問題」と発言しています。中国の最大輸出先が欧州であることを考えれば欧州不安と中国経済は切り離せない訳ですが、この両者が豪州経済に最も大きなインパクトを持つことは明らかです。
今週は中国の5月製造業PMI、米国の5月雇用統計が発表になりますが、大いに注目されます。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.9689-0.9935 AUDYEN76.87-79.17
今週の予想レンジ AUDUSD 0.9700-1.0000 AUDYEN 76.50-79.50
今週の豪ドルは売り買い交錯ですが、依然上値は限定的でしょう
先週の豪ドルは週末のG8や中国の内需刺激策の発表を好感して、週初には99セント台、79円台に反発しましたが、結局欧州不安の再燃を背景に堅調地合いは長続きしませんでした。
5月上旬の高値104セント台、83円台から下方トレンドを築いてきた豪ドルですが、さすがに1カ月近く続くベア相場で、下方圧力もやや減少している感があります。
ただ5月になってからの豪ドル下げの一因として、RBAによる50bpの利下げとそれに続く豪ドル安を嫌ったSovreign Wealth Fundや各国中銀の豪ドル債投資の減退があるのは確かです。
金利フューチャー市場では向こう1年で更に125bp程度の利下げを織り込んでいますが、豪ドル金利の先安観が弱まらない限り、これら機関投資家の豪ドル債投資はしばらく低調であることが予想されるため豪ドルの大きな反発は難しいでしょう。
今週は米国の雇用統計や中国のPMIが注目されますが、一方国内指標では水曜日の4月小売売上高が注目されます。3月の数字は前月比+0.9%(予想+0.2%、前回+0.2%)と強い数字でしたが、年前半軟調であった個人消費の反発が継続するか注目されます。
ただ今週も国内面よりは欧州、米国、中国などの海外の材料が豪ドル相場の動向を決定しそうです。
それではHave a nice week in advance!!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
☆豪ドルトレーディングにはFXマガジン「Joeの豪ドル道場」をお勧めします。
http://www.fxmagazine.jp/magazine_direct.php?uid=3Gl8j
「29_december_2010.pdf」をダウンロード
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当)
http://www.central-tanshifx.com/
☆外為どっどコム社の動画担当(毎週金曜日)
http://www.gaitame.com/gaitame/
ご注意!
本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、
それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。
東京銀行(現 東京三菱UFJ)のバーレーン支店で為替・資金ディーラーとしてスタート。ロンドン支店為替チーフディーラー、本店オプションデスク勤務後、1990年外資系銀行(米系、スイス系)に移り為替・資金業務に携わる。
1995年に来豪し第一勧業銀行(現 みずほコーポレート銀行)の為替ヘッドとして2007年まで活躍。
現在 AT FUND PTY LTD, Sydneyのダイレクターを務める傍ら、日本の投資家に日々市場メッセージを発信している。豪州金融市場に友人も多い。為替歴30年。趣味:ゴルフ、テニス、ワイン賞味、ネコと遊ぶ
☆FXトレーディングにはFXマガジン「侍ディーラーが相場を切る」をお勧めします。
詳しくはhttps://foomii.com/00130をご参照ください。
☆現在セントラル短資FXブログに執筆中!(毎週木曜日担当、ヤフーファイナンスに同時掲載)
http://www.central-tanshifx.com/
☆日経新聞月刊誌”日経マネー”に定期寄稿
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。