前回のブログでは、レズビアンカップル(AAとAC)に精子を提供したBBの3人の‘親’の中で子ども(ACが妊娠し出産)の出生証明書に登録されるべき2人は誰かということが争われた事案をご紹介した。判決では、判事はBBが置かれた状況にに同情を見せたものの、AB(子ども)が産まれた当時の家族状況を反映させることが適切だとして、BBの名前を登録から削除して代わりにレズビアンカップルであったAAの名前を登録するよう命じた。
みなさんは判決に賛成ですか?
最も、裁判官は法律を作っているわけではなく、法律に従って判断を下すので、この判決も現行制度に従って出した苦渋の決定であることが判決文を読んでいるとうかがえる。この判決後、今日のオーストラリア社会において2人分しか「親」の記載がない出征証明書と出生届の問題点が浮き彫りになった。
NSW州弁護士会が2012年7月に出した報告書によると、「親子関係」の種類は男女合わせて12種類ある。(12種類ですよ!)
①精子提供者(男)
②卵子提供者(女)
③代理母(女)
④⑤子どもと同居し、親権を持つ者(男・女)
⑥⑦養子縁組をした場合の養親(男・女)
⑧⑨婚姻関係や事実婚関係にある男女間に生れた子ども(男・女)
※夫の精子を使用せずに妻が人工授精で妊娠した場合も、夫がそのプロセスに同意している限り夫が子の父親になる。夫の精子と第3者 の卵子で妻が子供を産んだ場合も妻が子の母親になる。また、婚姻関係にある男女の子どもは親子関係が推定される。離婚や死別した場合も44週以内に生まれた子供は、夫の子どもと推定される。このルールは、同性カップルにも適用される。
⑩婚姻関係や事実婚関係に無いが、男性が認知するか、DNA鑑定によって証明された場合(子どもを里子に出した場合を含む)(男)
⑪婚姻関係等に無い女性が出産した場合(子どもを里子に出した場合を含む)(女)
12番目の親は、現時点では法律で認められていない妊娠方法である。UK Human Fertilisation and Embryology Authority(英国人工授精と発生学研究所)の最先端の技術では、母親(卵子と母体の提供者)の遺伝的情報の一部を他の女性の健康な真核細胞と取り換えて受精させることが技術的に可能であると発表している。この技術によって生まれた子は、2人の生物学上の母と1人の父を持つことになる。
12番目の「親」は現時点では法律で認められていないとはいえ、近年様々な家族形態を認める傾向にあるオーストラリア社会では、この12種類以上の「親」が出てくる可能性は大いにある。
3人目、4人目の親の記載を出生証明書に認めるべきか、個人レベルの道徳観や信条は様々であろう。次回のブログで、法律的にはどのような議論がなされているか見てみよう。
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