ビジネス法務Q&A
Q: 先日、ある代理店を通して1ヶ月ほど通訳を雇ったのですが、実はビザが認める就労可能な時間を越えて勤務していたことが分かりました。その期間中は弊社の就業規則に従って働いてもらいましたが、賃金は代理店に支払い、本人はその代理店から給与を受け取っていたので直接雇用していたとは認識していません。弊社に責任はあるのでしょうか。また、今後の雇用において注意するにあたり、自社の従業員が就労可能なビザを持っているかどうかを確認するにはどのような方法があるのでしょうか。
A: ご質問いただいた情報から判断すると、御社と通訳の方は雇用関係には無く、「labour hire」といわれるものになります。従って、当該通訳を派遣した代理店が雇用主になりますので、御社が法的責任を問われることはありません。ちなみに、違法就労者を会社が雇用すると最高で$66,000.00の罰金が科されます。
今回の場合はlabour hireですので責任が問われることはないですが、今後代理店から斡旋を受けて雇用する場合には、雇用者としての責任が発生するので気をつけたいものです。
従業員が就労可能なビザを持っているかどうかを確認する方法として、移民局が管理するVisa Entitlement Verification Online (VEVO)というシステムを利用するとよいでしょう。
http://www.immi.gov.au/e_visa/vevo.htm
Step1
まず、会社がビザ上の就労条件を確認することについて従業員の了承を得ます。
Step2
その上でパスポートのコピーを従業員に提出してもらいます。その際、顔写真で本人かどうか確認してください。
Step3
VEVOのサイトで名前、生年月日、パスポートナンバー、パスポートの発行機関を入力し、そのパスポートホルダー(従業員)のビザ上の労働条件をウェブ上で確認することができます。
ちなみに、以下の書類等は就労できるビザを持っている証拠にはならないので注意してください。
Tax File Number
オーストラリアの運転免許証
メディケアカード
オーストラリアの銀行口座
派遣会社からの紹介状や斡旋
前雇用主からの紹介状
T.Sさん、無料公開法律相談のご利用、そしてご質問ありがとうございました。
他にも解説が聞きたいオーストラリアの法律ニュースや法制度がありましたら気軽にご連絡ください。