今週の主な予定、イベント
8/17(月)日本Q2GDP、8月ニューヨーク連銀製造業PMI
18(火)豪州7月新車販売、RBA議事録、7月英CPI/PPI、米7月住宅着工件数/建設許可件数
19(水)7月WESTPAC先行指数、日本7月貿易収支、米7月CPI、FOMC議事録
20(木)米7月景気先行指数/中古住宅販売、8月フィラデルフィア連銀景況指数、連銀総裁講演(SF、ミネアポリス連銀)、ギリシャECBへ32億ユーロ返済期限、新規失業保険申請件数
21(金)独9月GFK消費者信頼感、8月ユーロ圏・独・仏製造業/非製造業PMI、ユーロ圏8月消費者信頼感
マーケットの焦点
キーワード:米9月利上げ観測、人民元動向、原油下落、中国株価、ギリシャ第三次支援プログラム合意、GPIF
先週は中国人民元の対ドル相場切り下げが市場の焦点となりました。中国人民銀行は約20年ぶりに8月11日に1.9%切り下げ、12日に1.6%、13日に1.1%と合計4.6%切り下げて13日の基準レートは1米ドル=6.4010(切り下げ前は6.1162)となりました。
ただ金曜日に市場レートは前日の基準レート以下(ドルが)となり切り下げを行わず、本日も行っていません。
この意外感のある人民元切り下げに市場は混乱し、初日はアジア通貨、豪ドルをはじめとする資源通貨に対して米ドルが急上昇し、また株価下落、商品相場下落、米債利回り低下の典型的なリスク回避相場となりました。
人民元安誘導によりアジア諸国や資源産出国が不利益を被るとの見方が広がる一方、通貨切り下げに走るほど中国経済は危機に瀕しているとの悲観論が目立ちました。
切り下げ2日目の12日には125円台まで上昇していたドル円が一時124円を割り込みましたが、市場のリスク回避の動き活発化に加えて、米国の9月利上げ観測が後退したことが原因です。
ただ3日間の切り下げ幅が漸減してたこと、及び4日目の金曜日には切り下げを見送り、中国人民銀行幹部から「人民元の調整はほぼ終了」との発言もあり、一時は10%程度の切り下げのうわさもあった今回の人民元騒動も鎮静化しつつあります。
IMFが今回の人民銀行の行動を為替改革として評価しているように、昨年来の人民元売り圧力の増大を買い介入でコントロールしてきた人民銀行が、市場実勢に合わせて切り下げた今回の行動は人民元完全自由化につながるとの前向きな評価に収まりつつあります。
人民元騒動でやや後退していた米国の9月利上げ観測ですが、騒動が収まれば市場の目は再び9月利上げ観測に戻ります。
もちろん人民元騒動が完全に終わったわけではなく、またギリシャ第三次支援の骨組みは決まったものの、完全に合意を見たわけではなく、リスクの火種は残ります。
しかしリスク回避の動きが後退すれば、市場は米国の各種経済指標や主要国、新興国の株価動向を見ながら9月の米利上げの有無を判断することになります。
今週も7月FOMC議事録、7月住宅着工/消費者物価などの重要指標が発表されます。
9月利上観測が後退する事態とならない限り基本的にはドルの堅調が予想されます。
豪ドルマーケット
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7215-0.7439 AUDYEN 90.35-92.69
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7250-0.7450 AUDYEN 90.50-93.50
今週の豪ドルは: 下値テスト後反発する余地はあります
先週豪ドルは中国の人民元切り下げに翻弄されました。
衝撃の最初の切り下げは11日(火)のシドニー時間午前11:15(東京時間10:15)でしたが、11:30に発表後の豪ドル急落は発表された7月NAB企業信頼感/景況感が弱いためかと思っていましたが、実は人民元の切り下げがあったわけで、オンタイムで気付かなかった方も多かった、それほど意外感のある切り下げでした。
初期反応は人民元切り下げの不利益を最大限に受けると判断される豪州経済への懸念から豪ドルが急落。73セント割れ、90円割まで下落しました。
切り下げ2日目には今後の大規模切り下げの思惑もあり、切り下げ発表後豪ドルは72セント台前半、90円前半の週中安値を付けます。
しかし同日引け際に中国人民銀行が行き過ぎ是正のために今度はドル売り/人民元買い介入に出たこと、更にはロウRBA副総裁が住宅バブル懸念に言及し、また「金融政策は万能ではない。低金利は総資産利益を損ない国益にかなわない」などと発言したことから豪ドルは下げ分の半値戻し(73セント台後半、91円台後半)まで反発します。
金曜日にはケント総裁補が「失業率は安定し労働需要は上向いている」と労働市場の改善に言及したことも豪ドルを下支えました。
しかしながら人民元切り下げが終わったとの保証はもちろんなく(中国当局発言の信ぴょう性は疑問)、また逆に人民元騒動が収まれば今度は米利上げ観測が浮上するなど、どちらにしても豪ドルにとっては押し下げ材料となります。
加えて原油が41セント台に続落するなど商品相場は年初来の安値を更新中とあっては、豪ドルの自力反転はまだ先の話と言わざるを得ません。
しばらくは下値不安が付きまとう展開が続くでしょう。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
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