今週の主な予定、イベント
6/27(月)
世界経済フォーラム夏季ダボス会議(~28日)
28( 火)
米Q1GDP(確報値)、米6月消費者信頼感、英中銀臨時オペ、EU首脳会議
29(水)
米5月個人所得収支、米5月中古住宅販売成約指数
30(木)
独6月失業率・失業者数、ユーロ圏6月CPI、米国新規失業保険申請件数、セントルイスFED総裁講演
7/1(金)
日銀短観Q2、中国6月製造業・非製造業PMI(政府系、民間)、ユーロ圏5月失業率、米6月ISM製造業景況指数、米債券市場短縮取引
1)マーケットの焦点
キーワード:英国EU離脱(その後)、その他EU諸国への影響、世界経済不安の再燃、世界金融市場不安の再燃、日銀短観、原油価格
英国のEU離脱に関わる国民投票の結果が24日に出ましたが、24日はある意味”歴史的な一日”となりました。
最終結果は離脱派が勝利し、得票率は51.9%(約1,740万票)、残留派が48.1%(約1,610万票)でした。
結果を受けてキャメロン首相は辞意を表明し、英国はEUと2年間の”離婚協議”(リスボン条約による)に入りますが、離婚成立は簡単ではなく世界経済・金融に影を投げかける恐れがあります。
今回の国民投票は、元々2015年の英総選挙でキャメロン首相が、当時EUからの大量移民が政治問題化しつつあった状況下政権維持を図るために「EU離脱国民投票」を選挙マニフェストにして選挙に勝った経緯があります。
同首相としても”よもや離脱とはなるまい”との算段のもと”EU残留”を訴え続けてきましたが、結果は直前までの予想を覆す「離脱派勝利」となり世界中に衝撃が走ったわけです。
英国内でも金融街シティーを擁するロンドン市が独立してEU加盟の署名集めに走ったり、投票率が72%と目安の75%に達しなかったことから”再投票”を求める声が急増するなど依然混乱を極めています。
特に域内の労働移動の自由を失うことを恐れた若者達や既存利権を守りたい層にとっては死命を決する大問題となります。
しかし、EU側はその他EU国への影響を懸念し2年の協議期間を短縮して出来るだけ早急に、しかも”見せしめ”の意味も含めて英国に厳しく対処しようとの立場のようです。
今回の英国離脱はいわば経済的恩恵を捨てても主権回復なりの民族主義的政治主導で決定されたわけですが、EU内の反EU派が今後勢力を増す可能性があり、スペインやイタリアなどの南欧諸国やオランダ、来年総選挙を控えるEU最大国の独や大統選を控える仏ですら現政権を揺すぶるなど、EUの存続自体に関わる問題に発展する可能性があります。
先週金曜日の金融市場では為替、株、債権、商品相場ともにリーマンショック以来とも言える大混乱を極めました。
投票終了時点(つまり金曜日早朝)では残留派が優勢との読みで為替相場ではポンドやユーロやドル円が急伸しましたが、開票が進むにつれて離脱派が優勢になるや、これらの通貨は大暴落となり、その後はG7緊急会議などのニュースでやや底値を戻してのクローズとなりました。
主要通貨ペアの24日早朝からのHIGH-LOWは:
USDYEN 106.84-98.98
EURUSD 1.1428-1.0911
GBPUSD 1.5018-1.3228
EURYEN 122.01-109.55
GDPYEN 160.17-133.30
AUDUSD 0.7648-0.7306
AUDYEN 81.61-72.47 まるで平常月の数か月分の動きです。
今後の英国のEU離脱プロセスの進捗具合やEU側の対応、そのたEU諸国の反EU派の動きなど注視する以外にありません。
しかし英国が”離脱ショック”から再度国民投票の道を探るなど、「武士に二言はない??」と英国に言ってもしょうがないですがいい加減にしてくれというところです。
ただ悲観的な観測は限りがありませんが、救いはリーマンショック時やギリシャの離脱云々のように「次に何が出てくるか全く不明」な状況ではなくいくつかのシナリオが描ける点だと思います。
とはいっても日々のボラティリティーが収まるにはまだ大分先のことになりそうです。
お気をつけください!!
2)豪ドル見通し
先週の相場レンジ AUDUSD 0.7306-0.7648 AUDYEN 72.47-81.61
今週の予想レンジ AUDUSD 0.7300-0.7600 AUDYEN 74.00-81.00
今週の豪ドルは: 引き続き乱高下しながらボラタイルな動きでしょう
BREXIT関連は上記の通りですが、豪ドルもご他聞に漏れず金曜日早朝から金曜日ニューヨーククローズにかけては「上げて暴落してやや戻す」展開でした。
BREXITに直面して市場はパニックになり瞬間的にプライス(レート)が消滅する激しい相場でした。
ただ豪ドルドルのレンジが340ポイント、豪ドル円が900ポイントと数か月分の動きが一日で来たことには変わりありませんが、やはりお膝元の欧州通貨に比べればまだマシかな??というところです。
豪州の最大の貿易相手国は中国、中国の最大の貿易相手国は欧州ということで今後欧州懸念が更に高まれば、その影響は商品相場などを通して豪州に及ぶことは必至です。
ただ、あまり楽観的なことはいえませんが、欧州全体に比して英国の貿易などの割合が小さいことや、影響が急激に今日明日出るわけではないこと。もっと言えば上述のようにある程度予測の出来るリスクであることなどを勘案すれば、豪ドルが一方的に下げ相場に転じる可能性も大きくないように思います。
いずれにしても今週は事の成り行きを見守る以外にないようです。
Have a nice week in advance !!!
Junax Capital, Sydney
Joe Tsuda
ご注意!本レポートは著者の作成時点における見解により作成されており、内容等の正確性を期しますが、それを保証するものではありません。投資等のご判断は皆様ご自身でなされるようお願い申し上げます。