▶▶▶フィジオセラピーは、筋肉や関節の痛みや機能障害、神 経系機能障害や呼吸器系疾患などの治療やリハビリを行う専 門家で、必要に応じてMRIや専門医に紹介し、包括的な治療を 行っている。さまざまな体の機能を知り尽くした奥谷先生に、 体の痛みの原因や改善法について聞いてみよう !
負荷に対する耐久性が弱まることが原因
今回の患者さんは妊娠6カ月のBさんです。最近はお腹も大きくなってきましたが、それに伴い少しずつ腰痛が現れるようになりました。腰痛といってもお尻の上あたりの痛みです。日中は長時間座っていると痛み出し、夜寝ている時は、寝返りを打ったり、横になったり、ベッドから起き上がる際などに顕著に痛みが出たということです。妊娠していた友達が同じような痛みを感じフィジオに診てもらった経験があったということで、今回治療にいらっしゃいました。
Bさんが痛みを訴えられた個所は、ちょうど左右一対の腸骨が仙腸関節を介して仙骨につながり、骨盤を形成しているところです。仙腸関節は関節表面がギザギザしており、分厚い靭帯により固定されたとても安定した関節関節です。しかし、妊娠20週目を過ぎたころから出産に備えて、体内のホルモンが増加し、体の軟らかい組織(筋肉、腱、靭帯)がさらに軟らかくなります。そのため、通常よりも負荷に対する耐久性が弱まります。そうなると、関節への負荷が増え、痛みにつながります。その上、仙腸関節をサポートする筋肉が骨盤を安定させようとさらに頑張るため、筋肉痛も併発してしまいます。
仙腸関節へのサポートがカギ
一般的な腰痛では筋力の低下を防ぐため、コルセットなどは処方しません。しかし、妊娠中の腰痛は体の軟らかい組織がさらに軟らかくなるため、関節をしっかり安定することが難しくなります。そのため、一時的に仙腸関節にテーピングをしたり、骨盤ベルトを処方することがあります。また、臀部の筋肉がパンパンに張ってしまうことも多く、それをリリースするマッサージをしたり、正しく、そして効率良く筋肉を使うための運動療法を行います。また、痛みを緩和する仙腸関節のモビライゼーションなどの施術を行うこともあります。 妊娠女性の5 0 〜9 0 % の方が腰痛になると言われています。妊娠前よりインナーマッスルや骨盤低筋を強化して妊娠に備えるようにするのも予防法として効果的です。
*同コラムは、一般医療情報の提供を目的としています。症状や治療法は人によって異なりますので、必ず専門家の指示 に従ってください
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