シドニーで電車通勤・通学している人、車内のアナウンスを今一度、よく聞いてみよう。今自分がどこの駅にいるかしっかり聞き取れるであろうか?
8月6日、シドニーの鉄道会社CityRailは目が不自由な人を差別しているとして裁判所へ訴えられた。訴えたのはオーストラリア人権委員会の障害者差別撤廃局(Australia’s Disability Discrimination Commissioner)の局長であるGraham Innes氏だ。Innes氏は、子供の頃から目が不自由で、CityRailの車内アナウンスの質が悪いために、CityRailを利用するたびに不自由を被っており、これは障害者差別だと主張している。
Innes氏はインタビューの中でこう言っている。
「自分は子供のころから電車に乗っている。盲導犬や杖を使えば電車の乗り降りは問題ないが、どうにもならないことがある。それは車内の案内アナウンスが非常に聞き取りにくく、今自分が何駅にいるか分からないことだ。」
確かに、私自身の経験と照らし合わせてみても、思い出すのはなまりの強い英語でボソボソとしゃべる車掌の声。更に、その声が車内の騒音でかき消されていて、とてもじゃないけど車内アナウンスのみを頼りにしていては、新しい場所には行けないだろう。
Innes氏はさらに続けた。
「毎日の通勤はとても不便だ。橋を渡る音やトンネルの音、その他の知っている音を頼りに何駅にいるか判断しなくてはならない。車内にいる人に聞いても間違った駅を教えられて違う駅で降りてしまうことも多い。」
CityRailの対応についてはこう述べている。
「CityRailに対して何度か車内アナウンスを改善するよう求めてきたが、一向に向上されない。自分が要求しているのは、今自分が何駅にいるのか教えてほしい。ただそれだけだ。車内アナウンスを改善しないことは目が不自由な人に対する差別であり、自分自身と他のシドニーに住む数千人の目が不自由な人を代表して訴える。」
Innes氏は訴えの中で、CityRailが車内アナウンスの質を向上させることとInnes氏への損害賠償を求めている。ちなみに損害賠償で受け取ったお金は慈善団体へ寄付をするとのこと。
さて、次回は少し踏み込んで、この問題はオーストラリアの法律上どのように扱われるのか見てみよう。
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